イラストSS

　夜も更け、辺りがしんと静まり返る頃。宵闇に乗じて動く１つの影があった。
　軽い身のこなしで１つの家の２階へと飛び上がり、ゆっくり窓を開け放つ。
　夜空に浮かぶ月夜によって、その者の姿が浮き彫りになる。
　忍び込むように部屋へと滑り込んだのは、この時期よく見かける赤い衣装に身を包んだソアであった。動きやすさを重視した衣装は軽やかで可愛らしいものだ。しかし大胆に空いた胸元や丈の短いワンピースは明るいうちに外を歩けば注目の的になることは間違いないだろう。
　涼しいというより寒いと表現したほうが的確な外気が部屋の中へと流れ込むも、部屋の主はぬくぬくとベッドの上で寝息を立てていた。
　ソアは抱えていた大きな袋をゆっくりと下ろし、嬉しそうに部屋の主の寝顔を覗き込む。
（「朝起きたらビックリしてくれるかな」）
　幸せそうな寝顔を少しだけ堪能した後、袋の中にしまわれているものを取り出し、枕元へと置く。
　それはキレイにラッピングされたクリスマスプレゼントである。
　喜んでくれることを想像すれば、ソアは八重歯を見せながら笑い、尻尾は嬉しそうに揺れ動くのであった。


　＊SS担当者：天野奈々GM