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アクセル・ソート・エクシルのゴリラによる関係者2人+PCピンナップ(横)クリスマス2020
イラストSS
鉄帝との国境に近い、幻想の辺境にある屋敷。屋根は夜になって降りだした雪で白く覆われている。屋敷の小さなホールに仲の良い三人が集まって、パーティを開いていた。
アクセル・ソート・エクシルは、きれいにセッティングされた丸テーブルで、シャイネン・ナハトのごちそうを堪能したあと、満足のため息をついた。
三角点の一つ、向かいの席で屋敷に主人も満足そうにヒゲを揺らしている。もう一つの点に座る金髪のレディも顔をうっとりとさせていた。
「美味しかった。そうだ、お礼に一曲、弾かせてくれないか?」
ヴァイオリンのケースを持って立ちあがるとき、レディにこっそりと目配せした。
ホールの隅に置かれた椅子のうえで姿勢を正し、顎と肩でヴァイオリンを挟む。ちらりとテーブルに目をやって、そうっと弦に弓を当てた。ゆっくりと、大きく弓を弾いて、音を奏でる。
ヴァイオリン協奏曲ホ長調「ル・アモローソ」。ずばり、「恋人」という名の美しい曲だ。アクセルは友人のために即興でソロ演奏にアレンジして演奏した。
「踊りましょうよ、せっかくだし」
「え? し、しかし――」
貴婦人、アッシュ・クラウ・ラースは立ち上がると、ダンスは苦手としり込みする騎士、スノウ・ダイン・スロウスを誘って一緒に踊り始めた。騎士の戸惑いはすぐに消え、二人は笑いながらホールの端から端に足を運び、身を翻す。アクセルが奏でる音楽に乗って、ホールの中を流れるように踊る。
時には抱き合い、時には頬を寄せ合い……。
上気したアッシュの顔がシャイネン・ナハトの飾りつけに照らされて幸せそうに輝いていた。きっと、胸の内では次も似たような曲が続くことを願っているにちがいない。
アクセルは乙女の秘めたる思いにそつなく応え、切れ目なく次の曲につなげた。冷たく冴える冬の空気に響く、雪のように淡い純白の音色が踊る二人の心にやさしく降り積もる。
演奏が終わり、聖夜の静謐な空気がホールに満ちた。
(「あとはふたりでゆっくりと……」)
窓辺で見つめ合う二人を残し、アクセルはヴァイオリンを手に、そっとドアをあけてホールから出ていった。
どうかふたりにとって素敵な夜になりますように。
それはアクセルにとっても幸せなことであるのだから。
*SS担当者:そうすけGM