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アーリア・スピリッツの棘ナツによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
アーリア・スピリッツの棘ナツによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
スチールグラードの街は、ひどく寒かった。
その点、比べるまでもないが、ここは楽園である。
「それじゃかんぱーい」
アーリアは目の前に二杯並んだマスジョッキの一つを掴み、優しくこつりとあててやる。
この小さな友人にとって、それを持ち上げるのは酷く大変であろうから。
「かんぱいなの!」
返事はジョッキの向こうから聞こえてきた。
ストレリチアは身体より大きなジョッキを一生懸命傾け、喉を鳴らして五分の一ほどを流し込んだ。
もう何杯目だろうか。アーリアの髪色は様々な色彩に溢れ、ストレリチアは踊っているのか千鳥足なのかといった案配である。
アーリアが、このよく分からない生き物と飲み友になってから、度々思うのだが。
大量の水分とアルコールは、この小さな身体の一体全体どこに消えるのか。
妖精というのはなんとも不思議な生き物である。
「ぷっはー、やっぱりビールしか勝たんの。あげみざわステーションなの」
「そういう言葉は、一体どこで覚えてくるのかしらぁ」
「風さんがおしえてくれたの」
謎が多いセンスである、そういえばこの妖精は、ずいぶん年上であるのだったか。
ともあれ、為すべきは変わらぬ。
酒だ。酒を飲むのだ。つまみも食べるのだ。
「ストレリチアちゃあん! まだイケるでしょお、シャイネンナハトは終わらないわぁー!」
「のめないシャバぞうなんてここには居ないの! 茶色い酒、ガンガンぶっこんでいくの!」
夜はまだまだ、終わりそうにない。
*SS担当者:pipi