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すずなの彁によるおまけイラスト
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迫る白刃を払い、澄んだ音がアパルトマンに反響しながら天へ駆ける。
踏み込んだすずなは正眼から打ち込み、刃が交わる。きりきりと鍔が競る。
「震えているのですか?」
「だってこんなに、気持ちいいんだもの! すずなだって、そうでしょ?」
「ええ……そう、ですね!」
一気に押し込む。だが横合いから襲い来る第二の刃が眼前に迫り――間一髪。とびすさる。
「また腕を上げましたね」
「それはこっちの台詞よ」
シャイネンナハトは世界中から争いが消える日であり、刀と騎兵刀を重ねる二人もまた同様。
半年ほど前の手合わせが楽しかったから、今度は二人でと誘ったのだ。
スチールグラードはひどく寒いから。町で遊ぶ前に、準備運動も兼ねて。
流れるような連撃が刃の嵐をうち伏せ、すずなは再びリーヌシュカの懐に飛び込む。
幾合も続く剣撃は、ラリーのように楽しげに――
思えば二人がはじめて戦ったのはラド・バウで、もうずいぶん前のことになるか。
二人が剣を納めたのは、やはりほぼ同時だった。
身体を包み込む高揚が心地よい。
「わたし、決めたわ!」
「何をです?」
「わたしもあなたと同じステージに立つんだから」
「ふふ……ラド・バウですね。お待ちしています」
「楽しみで、わたし、今日から眠れそうにないわ」
「……それはさすがに、ちゃんと寝てください」
さて。準備運動も終わりだ。
このあとはリーヌシュカにスチールグラードを案内してほしい、なんて。
そして物語は『<Scheinen Nacht2020>蒸気の街のシャイネンナハト』へと続く――。
*SS担当者:pipi