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イラスト詳細

まだ遠い背中

作者
人物 ハリエット
ギルオス・ホリス
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2020(→おまけイラスト)(サイズアップ)
登録されているアルバム
納品日 2020年12月24日

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イラストSS

 シャイネンナハトの日。ローレットの一室で書類を見据えているのは――ギルオスだ。
 全く。こんな日でも大量の情報が舞い込んでくれば休まる暇もない。
「さて、こっちは……うん? これは天義の依頼書じゃないか。
 やれやれ分別しておかないと後で見分けが付きにくくなるのに……」
 どうにも帰れなさそうだと。吐息を一つ零して――

 ――その背を、窓の外から見据えているのがハリエットだ。

「……まだ忙しそう、かな」
 その手には小さな箱が添えられている。
 ギルオスに渡そうと『初任給』で購入した――所謂かなプレゼントだ。
 だけれども、今一歩の所で足が踏み出せない。
 ……彼が忙しそうだから、というのもあるが。
 しかし源は彼女の心の中の方にあり。
(……わたしはまだ、あの人に正面から会えるような人間じゃない)
 どことなく引け目があるのだ。
 大切な事を教えてくれた彼に渡したいモノはあるけれど。
 けれど……いやそもそも私にとって大事な思い出であっても。
(きっと彼は私のことを覚えては――)
「……うん? あれ、そこに誰かいるのかい?」
 刹那。ギルオスが人の気配を感じたのか窓の方を振り向け、ば。
 反射的にハリエットは隠れてしまう。
 身を屈め、折角購入したプレゼントを腕の中に抱えながら――走るのだ。
 いつか、と思いながら。今ではない、と。
「……気のせいだったかな?」
 零す言葉。ギルオスが窓を開け、下を振り向けば――なんらかの足跡に気付くも。
 彼女の姿はもうない。
 ――心に籠る熱が一歩を踏み出すのは、もう少し遠そうである……

挿絵情報

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