イラストSS

「もう保たないわ！　そっちはお願いよ、ソロア！」
「ああ、任せてくれ。こうだな？」
「最高じゃない！　それじゃ行くわよ！　いっせーの！」
　じりじりとした緊迫――
　髪に積もる雪に構いもせず、目一杯に力をこめ。ソロアとリーヌシュカは巨大な雪球を押し上げる。
　ゆっくりと積み上がったのは、二人よりも大きい雪だるまだった。
「ふう、やったな」
　笑顔のソロアに、リーヌシュカが飛び跳ねた。
「ねえ、耳にこの楓の葉っぱつけると、ソロアみたいで可愛いんじゃない？」
「な、なにを。このバケツを被せればリーヌシュカのようだ」

　笑い合った二人は、それから雪だるまに顔をつけ――なんだか手袋が凍り付いている。
「温かいものでも飲みましょ」
「ああ、そうしよう」
　やっと一息。近くにあるどの雪だるまよりも大きいのだから、実際の所かなりの達成感がある。

　暖を取りながら話し込んでいると、そういえば思い出した。
　ラド・バウの相談に来ていたのだった。
「マイケルは分からないわ……けれど相性はキツそうよ。
　ひとつは魔砲の精度と威力を高める方法よ。ごり押しするの。私ならこれよ！
　もうひとつは魔砲を十発分までにして、もっと守る事と避けることに集中してみるの。
　けれど、どちらも継戦能力は犠牲になるわ。仕事の種類によって装備を変えることになるかもしれないし。それはそれで大変そうよね」
「……なるほど」
　考え込んだソロアを前に、リーヌシュカはふいに立ち上がった。
「でもとにかく、待ってなさい。わたしだって、絶対にソロアに追いつくんだから！」

＊SS担当者：pipi