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一時の楽しみを
一時の楽しみを
イラストSS
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窓の外には静かに降り積もる雪。街灯の光に照らされた結晶が、凛ときらめいて見える。
今は12月、冷たい風の吹く季節。夜となれば寒さは骨身に堪える程だろう。
しかし、この洋館の中はあたたかい。それは暖炉の火だけでなくて――
「テルル、ここってどうやればいいの?」
天使みたいに可愛らしい少女……に見える少年、館の主であるリリオスは傍らの小柄な淑女に話しかける。
二人がしているのは、今夜のごちそうの準備。
「リリオスさん、こちらはですね」
「できた!」
慣れた手つきでテルルが丸鶏を焼きやすく下処理していく。慣れないリリオスからすればまるで神業のよう。
が、まだまだ修行中のリリオスだって本職の負けていられない。
だって今日はシャイネンナハト。一年に一度だけの特別な夜。
そしてシャイネンナハトらしく飾り付けられたダイニングで始まる二人の夕食会。
「ささ、冷めないうちにどんどん頂きましょうか」
まずはディナーの主役、チキンから。パリパリの皮ごとお肉を口へ。
「んん、美味しい~~!」
そして夕餉も終わりデザートの時間。むしろ、今日はこっちが主役?
「すっごく良い感じにできた!手伝ってくれてありがとね♪」
切り分けたケーキをあーんぐりと一口。リリオスの目が、美味しさできらめく。
その様子を見て、ティーカップを手にしたテルルは、穏やかに微笑んだ。
*SS担当者:瑠璃星らぴすGM