イラスト詳細
チシャの綾瀬 みゆきによる3人ピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
●始まりの縁
その日はシャイネンナハト。少しだけ飾りつけをした小さなパーティー会場には数人の参加者がいて。
その会場の一角で、二人の小さな小さな参加者は。
「こんにちは! はじめまして」
「こんにちは、はじめましてなの」
テーブルの上で互いに向かい合って頭を下げていた。
片や旅人の妖精。赤いサンタの格好のリリー。
もう片方は純種であるエゴノキの精霊。こちらも同じく赤い服を着たチシャ。
「リリーはリリーだよ。よろしくね!」
「チーはチシャっていうの。よろしくなの」
そしてその二人を優しげな表情で見ているのは、狐の獣種のキツネである。
「わたしはキツネよ。よろしくね」
リリーとは知り合っているが、キツネもチシャとは初めて出会う。忘れないうちに自分も名乗っておいて。
二人の様子を傍らで眺めている。
「わぁわぁ、リリーと同じくらいの子がいるなんて! あんまり見たことないから嬉しいよ!」
自分と同じくらいの身長の人とほとんど会ったことのないリリーは同じくらいの身長のチシャを見て、驚きと共に喜びを感じていて。
出会いは数あれど、こうして向き合って話をしたことがどれくらいあるだろうか。その中でも数少ない自分と変わらない大きさの人と、ちゃんと話をするのは初めてかもしれない。
「チーも初めて会うから嬉しいの。仲良くしてくれるともっと嬉しいの」
チシャもこの出会いがとても嬉しくて。繋いだ縁がこれからも続いて欲しいと願って。
「ふたりとも、チーとお友達になってほしいの」
イレギュラーズになって、色んな人と出会った。そんな中で特別興味を持った二人と、もっと近付きたいと思って。
ぺこりと。チシャは二人にお辞儀をして。
それを見たリリーとキツネは顔を見合わせて。
ふわっと二人で笑って。
「勿論だよ!」
「ええ、わたしも友達になってくれると嬉しいわ」
二人は頷いて。
リリーは嬉しくてチシャに抱きついて。
「あ、ありがとなのっ」
抱きつかれたチシャは少し赤面して。それから幸せそうにえへへと笑って。
「あー二人とも可愛いわ! わたしも!」
二人を見ていると、キツネもうずうずとして。
「わっ」
「わわ!?」
大きいキツネが二人を胸に抱き寄せて。
二人は驚いたけれど。
「わぁーあったかい」
「なのなの」
「ふふ、ありがと」
抱き合って、三人でくすくすと笑った。
まだまだパーティーは続くから。今日は三人で楽しもう。
新しい絆を抱いて。
*SS担当者:灯火NM