イラストSS

　賑やかな街並みの中、サンタやトナカイの恰好をした一行が歩いてくる。
　先頭を行くのはにこにこ笑顔のユーリエ・シュトラール。その後ろを行くのはリゲル＝アークライトとポテト＝アークライト。
　三人はそれぞれプレゼントを手に、道行く子供たちにプレゼントを渡している。
「みんな楽しそうだし、ユーリエも嬉しそうだな」
　リゲルの言葉にユーリエは満面の笑顔で頷く。
「はい！　みんな笑顔でわたしも嬉しいです！」
「確かに、今日はみんな幸せそうだ」
　近づいてきた子供たちにジンジャーブレッドを渡しながらポテトも微笑む。
　今日はみんなが笑顔になる日。
　みんなに笑顔になって欲しいユーリエにとって、願いが叶う夢の時間。
「サンタたちのクリスマスパレードは始まったところです！　みんなでシャイネンナハトを盛り上げましょう！」
　元気一杯笑顔いっぱい。にこにこ笑顔でプレゼントを渡していくユーリエを見守りながら、リゲルとポテトも顔を見合わせ微笑み合った。
「次はこっちの道行ってみましょう！」
　ユーリエの指さす方に、パレードは進んでいく。

「……大丈夫か？」
「大丈夫じゃ、ねぇ……！」
　笑顔でプレゼントを渡すサンタたちの後ろで、マカライト・ヴェンデッタ・カロメロスが隣で山車を引くクロバ・フユツキに声をかける。だがクロバはサンタ三人が配るプレゼントをほぼ一人で運んでいる為すでに疲労困憊だ。
「これ、どんだけ荷物積んでるんだよ……！」
「まぁ……パレード始まったところだし量が多いのは仕方ないな」
「お前がこれ曳いても良いんだぜ？」
「俺はこれリゲル達に渡す役目だから遠慮するわ」
　空を見上げるマラカイトと、山車を曳く役を押し付けようとするクロバたとトナカイたちのやり取りも微笑ましい。

「みんな大喜びだったな」
　パレードを終えたサンタたちも一休み。
「クロバもお疲れ様」
「マジ疲れた……」
　ぐったりしたクロバに差し出されたのは紅茶と綺麗にラッピングされたプレゼント。
「ん？」
「今日は有難うございました」
「サンタから働き者のトナカイへのプレゼントだな」
　見ればリゲルにポテト、マカライトも同じものを持っている。
「ならこれは働き者のサンタへのプレゼントだな」
　そう言ってマカライトがユーリエに差し出したのはサンタたちに渡さなかったプレゼント。
「輝かんばかりの、この夜に！」
　真っ赤な苺が乗ったショートケーキは、いつも頑張るユーリエへ、四人からの贈り物。


　＊SS担当者：ゆーきNM