イラスト詳細
オレはオレであって、オレ以外のオレはオレじゃない筈で、それじゃあこのオレと、今ここにいるオレは、
オレはオレであって、オレ以外のオレはオレじゃない筈で、それじゃあこのオレと、今ここにいるオレは、
イラストSS
「待ってたぜ、『シミズ コータ』」
清水 洸汰は、シャイネン・ナハトの――争いもなく幸せな――夜の末に、『彼』と相対することとなった。
背格好は同じ、顔も同じ、ただ雰囲気だけが明らかに違う「自分」がそこにいる。
年齢相応な上着を羽織った洸汰と対象的に、『彼』は落ち着いた色のピーコートを羽織り、どこか大人びた空気を漂わせている。肩に積もった雪を見るにそれなりの時間をここで過ごしたことが窺える。「待ってた」という言葉に何の偽りもないのだろう。
最初は『湧汰』かと思った。彼が自分を待っていたのなら、理由は幾らでも思いつく。
だが違う、と直感が告げていた。多分『彼』は――『清水洸汰』(オレ)だ。
「……オレは」
「そんなに驚くなよ。オレはオレさ。アンタも、オレだ」
言葉が上手く出てこない洸汰に対し、『洸汰』は流暢に話し始める。といっても、そう多くの事ではない……『洸汰』は洸汰であり、『洸汰』が要るべき場所、得るべきだったものを洸汰が手にしているという事実、その理不尽を訥々と述べた、ただそれだけ。
だが、その間中、洸汰の思考はぐちゃぐちゃに乱れまとまりを見せなかった。
果たして――ここにいるオレは、オレしか居ないはずの『自己(オレ)』とは?
多分『洸汰』も教えてくれない――ただ一方的な静寂を雪が埋めていく。
*SS担当者:ふみのGM
挿絵情報
- 公認設定『永遠の少年』