イラスト詳細
隙間ない空間
隙間ない空間
作者 | くらい |
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人物 | 散々・未散 ヴィクトール=エルステッド=アラステア |
イラスト種別 | 2人ピンナップクリスマス2020(サイズアップ) |
登録されているアルバム | |
納品日 | 2020年12月24日 |
7
イラストSS
夜の帳に閉ざされたヴィクトールの部屋。
ヴィクトールから未散へは白く繊細なレースで編まれた雪の華のような手袋。
未散からヴィクトールへは金の歯車のバックルがアクセントの黒のラムレザーの手袋。互いの生活に欠かせない手袋を贈りあい、二人は冷たいフローリングに並べられたキャンドルに照らされ、ヴィクトールと未散は白いシーツの上に二人で向かい合っていた。
銜えた煙草の火を分け合い、其処から生じた煙が燻り、二人の身体へ纏わりついて霧散する。融けたチョコレートを思わせる甘ったるい香りが手袋へ、髪へと染み込んでいく。
未散のサラリと指通りの良い髪を掬い上げてヴィクトールは笑む。
ヴィクトールの冷たい頬を撫でて未散は笑む。
映画のワンシーンのような甘やかな雰囲気。
秘密の儀式のような艶やかな雰囲気。
されど、二人は恋人同士なんかじゃない。
ご近所さん、にしては距離が近すぎる。
二人の関係を的確に表すことが出来る名詞は屹度この世界に存在などしていないのだ。
唯、この煙と薫りだけが二人の関係の証人であればいい。
唯、二人に共通する首の輪だけがその名前を知っていればいい。
――ねぇ、そうでしょう?
*SS担当者:白NM