イラストSS

　クリスマスとは聖なる夜である。
　しかし同時に見逃すことのできないチャンスでもある。――そう、買い物の。

　再現性東京でもそれは例外ではなく希望ヶ浜に存在するショッピングモールでもクリスマスセールが行われていた。
　そこに出撃したのはブレンダ・スカーレット・アレクサンデル、イルミナ・ガードルーン、楊枝 茄子子の3人の乙女たち。コートを着込み戦いの準備は万端。向かう先は化粧品売り場と洋服売り場。

「よし、いくぞ！　まずはアウターからだ！」
「今行くッス！」
「ちょ、待ってよ2人とも！」

　先陣を切るブレンダに続くのはイルミナ。その後を茄子子がなんとかついていく。常に依頼で前衛を張るような女傑と同じ運動量をインドア女子に要求してほしくはなかった。
　だがそんなことは知ったことではない。ついて来れぬのなら置いて行くだけ。セールとはそういう戦いなのだ。

　颯爽と店内を駆け抜け確保したのはこの冬一押しのトレンチコート。それを3人分。
　だがまだ戦いは終わらない。アウターを確保したのならインナーも確保せねばならない。あとボトムスも。セールとはそういう場所なのだ。一つが手に入ればまた何かが欲しくなる。

　人ごみをかき分け3人は新たなる戦場へと向かう。獲物はまだまだ他にもいる。その全てを手に入れるまでこの戦いは終わらないのだ……。


「ブ、ブレンダくん待って……」
「む、先に茄子子殿が力尽きたか……イルミナ殿。この先のフレアスカートの確保をお願いする」
「承知したッス！」

　イルミナがスラスターを吹かせながらかっ飛んでいくのは少々販促な気がしないでもないが使えるものはすべて使わねばこの戦いには勝てぬのだ。
　ひとまず茄子子にはブレンダが肩を貸し、また別の売り場へ向かうことにする。休んでる暇？　そんなものはないよ。
　鬼だ悪魔と言われようと勝利のためには譲れぬものがある。


　そんなこんなで3人はクリスマスセールという名のこの戦場を制し勝利を手にした。だがまだ戦いは終わらない。
　次なる戦場は化粧品売り場。勝利の祝杯をあげるのはもう少しだけ先。

「「「かんぱーい！」」」


　＊SS担当者：灰色幽霊NM