PandoraPartyProject

イラスト詳細

妹とのクリスマス2020

作者 きのった
人物 彼者誰
イラスト種別 関係者1人+PCピンナップクリスマス2020(→おまけイラスト)(サイズアップ)
登録されているアルバム
納品日 2020年12月24日

4  

イラストSS

「さあ。次はシズク、あなたの番ですよ」

 赤い面に隠されないあまやかな藤色で促して彼者誰は妹の髪を手に取った。美しく波打つ青みを帯びた銀をやわく視線で指で愛でながら、既に自身の髪へ編み込まれたものと揃いのリボン——幸せに溶けた彼女の瞳と同じ色だ——をひと目ひと目と交差させていく。兄に褒められたこの髪が彼女の偽名の由来と知るなら、それに触れてもらえる妹の機嫌も推し量れようというものだ。

 今日という日をささやかに彩るツリー飾りが置かれたベッドに並んで腰掛けて、陽光のなか、きらきらと輝くおだやかな時間。編み終わったら次は何をしましょうか。こぼれ落ちる、何ということもない言葉たちがあたためてくれるから、寒色でまとめられたコーディネートにも温度が灯る。凍える季節を主張して窓を揺らす風も白く積もった雪景色すらも霞んで、華やいで、まるで春が駆け足でやって来たように。

「————」

 ふと誰にも聞き取れない言葉で、知る者の限られた本当の名前を呼んでみる。むすりと僅かに膨れる頬が兄の目にはただただ愛らしかった。

 恋の精霊も勘違いするほどに、何者にも邪魔をされないふたりだけのシャイネンナハトはまだ始まったばかりだ。


 *SS担当者:氷雀NM

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