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イラスト詳細

【ハーバリウム企画】奇術師の瓶詰め

作者 nii-otto
人物 夜乃 幻
イラスト種別 シングルピンナップクリスマス2020(サイズアップ)
登録されているアルバム
納品日 2020年12月24日

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イラストSS

●不可能ハ最早遠キ昔ニ
 ――ここに在るその全てが現か幻か。
 其処に在った目の覚めるような青色の瓶の中には、何処か蝶の翅を伺わす襟の趣あるタキシードを纏った奇術師が笑っていた。
 瓶の外には瓶の色に勝るとも劣らぬ深く、そして鮮やかな青と奇術師が空間を彩る――その彩が瓶に透き通ったか、瓶の彩に空間が色取られたか、その真偽を確かめる術もなく。
 ただただ、奇術師は笑うと瓶の中のシルクハットを象ったものに笑いかける。
 するとどうだろうか。
 其処から飛び出る奇術師の札と、目にも鮮やかに見る者の意識を心地よく醒ます青き薔薇が瓶の中に咲く――それは何処か、ハーバリウムじみた様相を作り出して。
 種も仕掛けもございません。
 何故ならば青瓶の中に笑う奇術師には正に青薔薇<存在しない>ものなのだから。
 存在しないものの種も仕掛けも暴くのは“不可能”に他ならず、奇術師は笑い世界を魅せるのだ。
 瓶を閉じ込める蓋の鎖に取り付けられた札と蝶が拍手鳴らすかのように揺れる中、奇術師は思う。
 それは“いつの日か本当の奇跡を”と。
 そして奇術師の声に答えるように、瓶の中に時を保たれたその花の色は語る。
 目の覚める色を揶揄された“不可能”の嘲りは今は無く、花言葉の動き出した時はその言葉をこう変えた。
 即ち“夢は叶う”と。


 *SS担当者:表川プワゾンNM

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