PandoraPartyProject

イラスト詳細

聖贄遊戯

作者 黒猫
人物 ソア
マルベート・トゥールーズ
リディア・T・レオンハート
イラスト種別 3人ピンナップクリスマス2020(サイズアップ)
納品日 2020年12月24日

10  

イラストSS


 ――とっても美味しいご馳走が在るんだ。

 ソアがマルベートをそのような文言で誘ったシャイネン・ナハトの夜。
 自らが住まう館を訪れたソアを笑顔で迎え入れたマルベートは、そのまま館の一室へと彼女を誘い入れて。

「そっ、ソアさん!? お願いします、助けてください!」

 果たして。
 通された部屋の中央には、裸身をリボンで縛られたリディアが、円卓に乗せられていた。
「……えっと、マルベートさん?」
「うん?」
『これ』が? と視線で問うたソアに対し、マルベートは笑顔のまま。
「リディアを初めて見た時からね。ずっと思ってたの。美味しそう、って。
 だからこの子も今日、夕食に誘って――食事にちょちょっとね」
「私未成年なんですけど!?」
「大丈夫、お酒じゃなくて、ちゃんと『合法』のヤツ」
「より怖いです!」
 必死で拘束をほどこうとするリディアであるも、一体どんな細工が施されているのか、リボンはリディアの柔肌に微かな赤い痕を残すのみで、傷つく様子は微塵も無い。
 ……即ち。此処に居るのは、被食を待つ哀れな仔羊に他ならず。
「ソアは、どう?
 この子をほんの少しでも、味わってみたいと思わない?」
「……そう、だね」
 はい!? と瞠目するリディアの、縛られている腕。
 それを優しく持ち上げたソアは、つぷ、と自分の犬歯を食い込ませる。
 傷も残らない甘噛みに、しかし対するリディアの怯えっぷりは目に見えて明らかで……だからこそ、それを目の当たりにするソアの嗜虐心が、彼女の人間に対する隣人愛を上回る。
 ソアの反応に気をよくしたマルベートは、円卓に予め置いておいたお気に入りのソースをリディアにかけていく。
 少量を乗せ、指先で薄く延ばして。調味料単体からでも香る美味しそうな匂いが、逆にこれからの自分を暗示するかのようで、リディアは。

「……ねえ、ほどいてあげようか?」

 リディアは、恐れていると同時に――何かを、期待しても居た。
「『ほんの冗談のつもりだったんだ』。『私もソアも、嫌がる子を無理やり食べたりしないよ』。『だから、嫌ならそう言ってくれれば、直ぐに解放してあげるから』」
 ――ああ、でも、と。
「もし嫌がらないなら、とっても優しく、たっぷり愛して……溶かすように、食べてあげる」
 恐怖に濡れていたリディアの瞳は、今やマルベートの二、三言と、肌を伝うソアの指先によって、別の色を帯びている。
「……わ、わたし、は」

 微笑む捕食者二人に対して、リディアは『その一言』を口にした。


 *SS担当者:田辺正彦GM

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