イラストSS

　――時はシャイネンナハト。
　クリスマスカップと題された、多くのスーパーマシンが集ったこのレーシング場にはある一点を中心に人だかりがあった。
　人だかりの中心、観衆の視線をかっさらうのは二人の美少女。
　マシンではなく主役は私と言わんばかりの存在感を放つレースクイーンの二人だ。
「こっちにいたぞ！」
「写真いいですかー？」
「シュピは構いません」
「私も……大丈夫」
　おおっと歓声が上がる。フラッシュが瞬く。
　二人のしなやかで白い四肢をフラッシュが青い空に照らしていく。
（これが済んだらお昼にしましょう……シュピはタルタルソースのなにかが食べたいです）
　ぼんやりと虚空を眺めるSpiegel。考えているのは昼御飯のこと。
　パン、パン、と打ちあがる色とりどりの紙吹雪が舞い上がる。
　オニキスは口角を上げ、柔らかく微笑んだ。
　白と黒の旗が風に揺らめく。赤のスポーツカーは二人のクイーンの忠実なしもべだ。
　眩しい光は止むことを知らず、カメラを握ったファンの歓声も止まることはない。
　輝かんばかりのこの――夜、ではないから。改めてポーズを取りなおす。
　輝かんばかりのこのフラッシュに！


　＊SS担当者：染NM