イラスト詳細
夢を見たの、もう思い出せないあの時の景色を
夢を見たの、もう思い出せないあの時の景色を
作者 | ろまやす |
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人物 | イーリン・ジョーンズ カタラァナ=コン=モスカ |
イラスト種別 | 2人ピンナップクリスマス2020(サイズアップ) |
登録されているアルバム | |
納品日 | 2020年12月24日 |
17
イラストSS
知識には果てがない。
溺れるような知識をまとめ上げ、イーリン・ジョーンズ(p3p000854)の操る羽ペンは一節を記し終える。まだ、深く潜り込むように――息継ぎなど忘れて次へと進む。窓の外に響き渡るもうすぐのシャイネン・ナハトを祝うような陽気なクラシックに背を向けて、ただ文字の洪水に浸っていく。
この空気を感じると、否応なく思い出される。もうすぐ、カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390)が生まれた日。
「おめでとう」ということができたら。
感傷と、わずかな思考の中断がペン先をにじませた。だが、次の瞬間には文章は新たな行へと移り、精緻な文字を綴ろうとしていた。
気がつけば、イーリンは机に突っ伏して眠っていた。
「いーちゃん」
カタラァナはそっと髪を撫でる。ただ、ただ、ふたり。
イーリンは目を開いてそれを見ることはない。けれどその、一方的な祝福にも似た気配は感じるだろう。
わずかな潮の香りとその気配はあの日そばに立っていた彼女の事を思い出させるばかり。
親しき友人へ……否、そんなものでは言い表せない。その星のうちに内包するものがなんであったのか、答え合わせの機会は失われてしまった。ぽっかりとあいた空白を埋め合わせるように、イーリンは知識を山と積むだろう。そしてそれを踏み台にして、幾度となく空へ――あるいは深海に、手を伸ばすのだろう。
……いつでも、待ってるよ。
かすかな、歌声。
*SS担当者:布川GM
挿絵情報
- 公認設定『波濤の残滓』