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イラスト詳細

『寒椿』

作者 えび
人物 白薊 小夜
死牡丹・梅泉
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2020(サイズアップ)
納品日 2020年12月24日

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イラストSS

●寒椿
「文を貰った時はてっきり果し合いでも押し売りされると思ったのじゃがな」
「『それ』も魅力的な話だけれど」
 長い黒髪に和装、腰には物騒な言葉の通りの太刀を下げている――神威神楽に似合いの風流な男に、その彼の二歩後ろをついていく綺麗な女が応えた。
「神威神楽は如何にも『私達らしい』じゃない。
『貴方と私が正しい意味で正確な同郷かは分からないけれど、似た風情である事は確かだわ』」
 旅人の郷里は千差万別に異なる。
 同じ世界――例えば同じ地球の日本出身だとしても、それが無数に分割された可能性の末のパラレルでないとは限らない。やれ「女怪」だ「女狐」だと塩味の効いた応対をする男と女も又然り。男が年上に見えるが実際の所、女の齢はその十倍を数えている。
「貴方と今年の寒椿を見たいと思う女心は不自然かしら?」
「――はん」
 高天京郊外で見事な庭園の石畳を行く白薊小夜と死牡丹梅泉は今日は剣呑な時を忘れ一時雪と椿を愛でていた。彼は人斬りにそぐわず流麗であり、彼女は女怪にそぐわず楚々としている。成る程、内実を見なければ『お似合い』に違いない。
「……梅泉。正直を言えばね」
「うん?」
「やきもちを妬いたのは私の方も同じなのよ」
 小夜の脳裏を過ぎるのは何時もと同じくめくるめく殺し合いの夜。
 昏い眼はその光景を決して映しはしないけれど、その空気は小夜の心に波を立てた。
「どれもこれも……まったく。くだらんな。
 もし本気で言っておるなら、まずはわしを斬ってみせるがよいわ」
「本当につれないんだから」
 言葉とは裏腹に白い肌に朱色をさした小夜は嬉しそうだった。
 梅泉の言葉は自分と同じ。だって、私は。手にかかるなら貴方がいい――

担当:YAMIDEITEI

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