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マギー・クレストのたけのこたろーによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
マギー・クレストのたけのこたろーによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
「フレイさん」
そう声をかけられたフレイ・イング・ラーセンは振り向き、目を細めた。そこにいるのは常の男の子にも見える少女――ではなく、立派な淑女。
彼女、マギー・クレストは熱気にあてられてしまって、と小さく苦笑いした。
「なら、外に行こうか」
パーティ会場は人が溢れんばかりに出入りし、会話の声も個々は大きくないものの重なればさざめきのように止めどなく聞こえてくる。フレイは彼女が好きそうなジュースと自らの酒のグラスを手に、マギーとバルコニーへ出た。
「外は涼しいですね……」
「あの中にいればな。……肌寒くはないか?」
熱気の中から出てきたからこそ『涼しい』で済んでいるけれど、彼女が風邪でも引いたら大変だから。けれどマギーは仄かな笑みと共に大丈夫です、と頷いた。
「そうか」
ジュースのグラスをマギーへ手渡し、自分はもうひとつのグラスを手に、2人で空を見上げる。美しく、優しい――今、この世界では誰もが武器をとらず過ごしている。
(なんだか、ドキドキします)
そんな奇跡の中にいるから? それとも熱気にあてられてしまったから? それとも――いつもと、違う雰囲気に?
嗚呼、わからないけれど。今この時を祝うのは今しかできないから。
「「輝かんばかりの、この夜に」」
*SS担当者:愁GM