PandoraPartyProject

イラスト詳細

イグナート・エゴロヴィチ・レスキンの佐東敏生によるおまけイラスト

イラストSS

 シャイネンナハトと言えば目出度い日だ。
 一年に一度だけの催事。だけれども――鉄帝と言えばそういう日でも『らしい』もので。
「……こんな日でも殴り合いのイベントか? やれやれこれだからこの国は……」
「まぁまぁゲルツさん! そーいう熱い所が良い所でもあるんだし、さ!」
 吐息。零すのはゲルツだ――その姿は黒のタキシードで整えられている。
 普段からスーツである彼だが、一層引き締まっている様な印象を与える衣装であり……同時。その横にいるのは赤いパーティドレス衣装に身を包んでいるパルスであった。
 双方共にラド・バウのB級闘士。
 ――彼らに依頼が舞い込んだのだ。『華やかな装いでバトルしましょう!』という、一日限りの特別ラド・バウイベント企画が! その告知の為にイベントポスターを作る事になり――なんやかんやあって選ばれたのがこの二人と。
「あらら。しかめっ面だけはダメよぉ? 折角の晴れ着なんだから笑顔じゃないと。
 そ、れ、に。イグナートちゃんもいるんだから、ねぇ?」
「ハハ! お三方と一緒だとは光栄だネ! あぁしっかり笑顔で務めさせてもらうサ!」
 更にビッツとイグナートも集められていた――
 二人の衣装もまた、映えあるモノだ。紫を基調としたドレスはビッツを妖艶に映し出しており、イグナートは――異世界に存在するとされる『中華』系の衣装だろうか。サングラスも付けて、見る者が見れば厳めしくも感じるが、しかし上から下までしかと整えられた雰囲気はそれ以上に人々の心を掴むが如き様相を感じさせる――
 いずれもが正装の衣装だ。パルスやビッツは珍しい衣装を着込めるという事で乗り気であり、二人で可憐なる装いを担当できるのであれば……あとは男衆を捕まえてキッチリとした衣装の宣伝を、と。そこで白羽の矢が立ったのがゲルツとイグナートであった。

「……まぁ、拒否する程の事でもない。それに写真を撮るだけなんだろう?」
「そうよぉ。だからほら、笑顔でねぇ?」
「あ、そろそろ撮影だって、サ! ここのソファーに座っておけばいいのかナ?」
「うんうん! どう座る? ボク、真ん中がいいな!」
「じゃあ男二人が端の方に座って、綺麗所の花が中央って事にしようカ!」

 さすれば始まる刹那の一時。イグナートとゲルツが端の方へ。
 中央にはビッツとパルスをエスコートすれば――より映えるものである。
 武を重んじる国であれど衣に全くの無頓着という訳でもなければ。
 この一枚の絵画が如き光景に――心動かされる者もいよう。
「はい、では撮影はじめまーす!」
 輝かんばかりのこの夜に、鉄帝なりの想いを込めて。
 シャイネンナハトに向けての熱が――籠ろうとしていた。

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