イラスト詳細
サンタ・ヴェリタ島の音楽祭参加時の正装衣装
サンタ・ヴェリタ島の音楽祭参加時の正装衣装
イラストSS
ステンドグラスから覗く月明かり。その前に座る、一人のマエストロ。
紡がれる、柔らかな音。夜の月明かりのように優しく、昼の風のように暖かく。
奏でられるそれはレクイエム。この年、亡くなった者たちへ捧げる、鎮魂の葬送歌。
奏でられるのはレクイエムとは言え、会場の雰囲気は決して暗くはない。
むしろ逆。死者たちを明るく送り出そうと、酒宴が、祭が広く開かれていて、その宴の最後に、真はヴァイオリンで曲を奏でていたわけだ。
祭……と言うか、葬送のイベントを企画したのは真だ。だが、こうして大トリを自ら務めようとしていたわけではない。
引っ張り出されて、渡されたヴァイオリン。馴染みの者に囃し立てられ、子供達に素直な願いをかけられては、それを断るわけにもいかない、と言うわけだ。
ヴァイオリンの弓を、優しく引いた。最後の音符を奏でて、レクイエムは終わりを告げる。
巻き起こる、万雷の拍手。送る者。送られた者。輝かんばかりのこの夜に。すべての魂が安らかにあらんことを。
「追憶と鎮魂はこれにて終わり。此処からは、今を生きるもののための曲を紡ぐよ」
真は微笑んだ。
「リクエストは?」
GM:洗井落雲