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咲野 蓮華のsimaによる2人ピンナップクリスマス2020(縦)
咲野 蓮華のsimaによる2人ピンナップクリスマス2020(縦)
イラストSS
華やぐ商店街に、いくつもの声と音が響いていく。弾む靴音のひとつは蓮華のものだ。彼女が腕から提げた袋は、聖なる夜の楽しみを目前に、カササカササと陽気に歌う。そして頭の上では、アシリが風の音に身体を揺らしていた。
二人して瞳をくるくると踊らせ、四辺の美食を味わいながら買い出しの帰り道を楽しむ。
やっぱりこれアルね、と笑いながら蓮華があんまんをちぎると、もふんと膨れた湯気に誘われ、アシリが身を乗り出す。ほんのひと欠片だというのに、アシリがすんと鼻先を鳴らせば、より濃く抜けていく香りは――滑らかな餡の誘惑。白い皮で守られるばかりだった餡が、ひょっこり顔を覗かせてアシリを待つ。
「においからして、もうたまらんのじゃ」
声音が蕩けたアシリに、蓮華は頬をふくりともたげた。
そしてもどかしげに揺れる小さな手へ、あんまんを手渡す。
「餡がものすごく熱そうアル。気をつけ……」
「はふっ、はふひっ!」
「もう頬張ったアルか!? なら私も……はふひはふ!」
気をつけてと共有する前に、あつあつを分かち合う。
甘みも熱も、一緒に味わう楽しみも口にたっぷり含んで、後は二人揃って目許を和らげるばかりだ。
*SS担当者:棟方ろかGM