イラスト詳細
黎 冰星のみっくによる3人ピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
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なめらかなシーツの上に転がされ、両側にごろりごろりと肉食獣がその優美な肢体を横たえる。
性なる夜、人の性を喰らい生きる美しき女達は、一人の青年――冰星に目を付けた。
未だ経験も無いものの、欲で溢れる若い男。奉仕されるならそれなりに「求む、経験」だが、こっちが食うなら初物の方が縁起がいいわえってなもんである。
経験がないゆえに妄想を頭と胸にため込んでいるイタイケな青年にとって、鴨がネギ背負ってやってきたよりさらに上、半裸のお姉さんがサンタさんだったとか一体どんなエロデリバリーでしょう。オカズにしてもベタすぎやしませんか。シャイネンナハト定番メインディッシュのローストチキンより高カロリーなのは一目瞭然だ。
というか、青年。食べられるのはお前の方だ。
完全露出の白肌と、シースルー生地はないよりえっちな褐色肌の青少年の夢の結晶というにはぱゆんぽゆんした代物は、緊張を解いたとたんにたゆゆんと密着必須の距離感である。
なんて面白いの。なんて可愛いの。次はこの子を食べちゃいましょうと肉食獣達の目が言っている。目線は出会わないが照射される視線の圧で分かる。
「くふ、くふ。さてさて……坊よ。こうして床に引きずり込まれてしまったが……覚悟は出来ておろうなぁ……?」
冰星の耳の中に、霧緒のとろけてしまいそうな甘い声が注ぎ込まれて、知らずピルピルっと耳が動き、ゾクゾクと背筋を何かいけないものが駆けあがる。変に緊張した太ももの筋が吊りそうだ。
ゆらぁんゆらぁんと意味深に揺れるふっかふかのしっぽがかすめてるような気配がしないでもない絶妙な位置でうごめいているのだ。自分の身に何が起こっているのか確かめるのも恐ろしい。
「それも、とびっきりの覚悟を、ね」
反対側から、キツネの甘い声。 大人にされちゃう。階段上っちゃう。
「ふ、ふぁい……」
思わず知らずまろび出た肯定の声に、狐たちはあでやかな唇を吊り上げた。
一夜の夢幻では済まない。ずっと、ずーっと飼っててあげる。そんな思惑を言の葉に乗せて、甘く囁く。
ああ、終身雇用愛玩青年。天国なのか地獄なのか判断が難しいが絶対値はめっちゃ高そうだ。
(こんなの、逃げられる訳ないじゃないか!)
ああ、確かにこんなに魅惑的な褥から逃走を図ろうなんて臆病者のすることだ。頭のてっぺんから足のつま先まで徹底的にしゃぶりつくされるのが目に見えていたとしても。
*SS担当者:田奈アガサGM