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冰宮 椿のえいによるおまけイラスト
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イラストSS
●背月の天使
ひらひらと淡雪の舞う幻想の夜に。
喧騒から少し離れた屋根の上。一人腰を下ろしてざわめきを眺めるのは白翼の天使。優しげな黄色の瞳で、楽しそうに行き交う人々を見下ろして。
「今日はいつも以上に街が賑やかですね……」
もう月も昇りきった夜だというのに、喧騒が止む気配はなく。軽やかな音楽と共に熱気も伝わってくるようで。
「ふふっ」
椿は笑って。それらをただただ眺めている。
シャイネンナハトの雰囲気に合わせたサンタ風の衣装に身を包んで。
誰かにプレゼントを配るのでもないけれど。今日のこの日を楽しむのに相応しい格好で。ところどころ肌色が見える服装だけれど、ファーや手袋でそこまで寒くはない。氷に慣れているからかもしれない。
「月も綺麗……」
雪雲が途切れている空から蒼い月光が降り注いでいて。
その呟きが街を歩く子供に聞かれたようで、少年が椿を見上げて頬を染めている。
それに気付いた椿はひらひらと手を振って応える。
少年はハッとしたように手を振り返して。それから雑踏に消えていく。
それを見送った天使は微笑んで。
「メリークリスマス」
そっと呟いた。
傍らで月が笑っているようだった。
*SS担当者:灯火NM