イラストSS

　シャイネン・ナハト。
　正装に身を包んだエリザベートとユーリエは、特別な夜の舞踏会に来ていた。
　手を取り合って入場すれば、広い会場は陽気な音楽と楽しいざわめきで満たされている。
　豪勢な料理や色とりどりの飲み物には目もくれず、二人はホールの中央を目指した。
　エリザベートは恋人の手を取った。共にいる嬉しさがあふれて笑顔になる。
「今日のユーリエは綺麗ですね。……ううん、いつも綺麗で毎日ドキドキしていますが、普段と違うドレス姿に胸がきゅんきゅんするのですよ」
「それを言うならえりちゃんのドレスも素敵で、普段と違った一面を見るたびますます好きになるよ……」
　褒め言葉の応酬に少し照れくさくなった二人。そこへ明るい音楽が始まり、乙女達を誘う。
「私と一曲、いかがですか？」
「喜んで」
　手と手を重ねて、体を寄せ合って。
　ゆらりゆらり、二輪の花が揺れる。回る。
　絡み合った視線がほどけないまま、あっという間にワルツは終わる。
「……もう一曲、踊りませんか？」
「もちろんだよ。もっともっと踊ろう」
　離れるのが名残惜しくて、エリザベートとユーリエは次の曲まで身を寄せ合ったままでいた。
　吸血鬼の舞踏会は夜通し続く。


　＊SS担当者：乃科GM