PandoraPartyProject

イラスト詳細

まほうの出来映えは?

作者 くらい
人物 アレクシア・アトリー・アバークロンビー
イラスト種別 シングルピンナップクリスマス2020(サイズアップ)
登録されているアルバム
納品日 2020年12月24日

7  

イラストSS

 さんざめく街をゆくアレクシアは、華やかさを粧った店を横切る際、ふと眼差しを寄せてしまう。滴る光の合間で跳ねた髪が、どうしてか無性に気になる。少し足早だったかもしれない。弾むばかりの歩が、せっかく時間を確保して整えた髪型に響いていないか。それと。
 ――ドレス、変じゃないかな。
 そんな想いばかりが、ショーウィンドーで自分の姿を確かめたアレクシアの鼓動を叩く。
 何せ数々の色と光で彩られた今日この日に、舞踏会という特別な舞台へ向かっている。現実を再認識してしまったからか、コサージュの位置までもが彼女の心をざわつかせた。
 だから緊張に冷えた指で浮き立つ毛先をささっと落ち着かせて、彼女は店のそばを離れた。ゆき交う人の波に混ざれば、頑張った『まほう』のことも頭の片隅へぽいと置いておける。店の前を過ぎるまでは、気持ちも今よりは平穏だったのだから大丈夫。そう思ったのに。
 ――なんて言ってくれるかな。
 次に浮かんだ期待の音が、石畳を踏み締めていくアレクシアの足に、自然と力を篭めてしまう。
 どうしよう。
 四辺で煌めくベルの音も、人々の朗笑も、自分の靴音さえ何ひとつ聞こえやしない。


 *SS担当者:棟方ろかGM

PAGETOPPAGEBOTTOM