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クリスマス・ティータイム【須藤怜絵師様】
クリスマス・ティータイム【須藤怜絵師様】
イラストSS
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街全体が聖夜のモミの木のように、きらびやかな灯でつつまれていた。
「……あ、雪」
ガラスの向こうで大きな白い雪片が、おもちゃのスノードームの中の吹雪のように舞っている。暗さを増しつつある空を見あげると、星がいくつかと細い三日月が見えた。
雪が次第に景色を白に変える魔法のような時間――。
グレイル・テンペスタは、テーブルに置かれたスノードームのスイッチを押した。
オルゴール特有の音で奏でられるキャロルが店内に響き、白い粉雪がドームの天井に舞いあがった。ガラスの球体のなかにある、大きなもみの木と教会を中心にしたレンガ町に雪が降る。
「……同じ……だね。こっちも雪が積もるといいな……」
赤いラズベリーソースがかかったチーズケーキをひと口頂いて、アールグレイを入れた白い陶器のカップを手に取る。
(「学園のみんな……どうしているんだろうな……」)
シャイネン・ナハトに想う。友に幸あれと。
「……僕は、元気だよ」
自然と笑みがこぼれ、床に垂らした白い尾がゆるりと揺れる。
持ち上げたカップから、ベルガモットの香りが湯気とともに立ち昇った。
*SS担当者:そうすけGM