イラストSS

　――ベル、愛してるぜ。
　――はいはい、そーね。

　晴明は考える。恋人リチャードと付き合いはじめてはや二年――
　倦怠期に突入してしまっていると。
　いやだってそうじゃないか？　あの雑な対応、まずいって。別に今の生活がつまらないとかそういう事じゃないんだ。むしろ幸せの絶頂期にいるといっても過言ではない――だけどそれはそれ、これはこれというヤツで！！
　俺は！　もっと！　ベルの愛が欲しいんだ！！　
「ならいっそ、惚れ直させてやろうじゃあないの。見てろよリチャード！」
　故に晴明は実行する。娘が寝静まった後の時間を、暗殺者時代に鍛えた隠密の技能とメイクの技能を用いて秘密裏に、そして鮮やかに――魅惑の女装を行って。
　迫る。
　差し足抜き足忍び足……扉を開けて寝室へと迫るのだ。
　その衣装はサンタの服装ではあるのだが破廉恥極まる薄着である。晒している肌の面積のなんと多い事か……おおこれは娘に知られる訳にはいかない様な服装。だが今宵は。今宵だけは退く訳にはいかないから！！

「贈り物は私という毒よ。骨の髄まで蝕んでア・ゲ・ル♪」

　ベッドへと滑り込んで相手を取り押さえる――
　さぁ――ここからはお子様には見せられない時間だ……


　＊当SSは未納品となった2019クリスマスピンナップのSSとなります。