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白薊 小夜のYAMIDEITEIによるSS用イラスト
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イラストSS
「主もつくづくしつこい女よな」
「あら。そんな事はとっくに知って貰っていると思っていたのだけれど」
「女怪、か?」
「そう。その可愛くない呼び名。まぁ、貴方に呼ばれると思えばそれも心地良いんだけどね」
神威神楽動乱のその後――
はるばる幻想北部商都サリューを訪ねた白薊 小夜(p3p006668)は念願叶って死牡丹梅泉と対峙する事に成功していた。
小夜からすれば『あの夜以来』である。『はしたないことに』口走ってしまった言葉は嫌という程覚えている。
実際の所、呆れ顔の梅泉と相対するのは少し――否、相当に気恥ずかしいのだが『女怪』はそれを気取らせない。
「今日は、たてはさんはいないのね?」
「……居たら、血の雨が降るであろうに」
「クリスチアンさんに悪い事をしたかしら?」
「……主『等』はあやつではなくわしに少しは悪びれよ!」
一喝した梅泉に小夜は鈴を鳴らしたような涼やかな声を上げて笑った。
真っ当なものかどうかは別にして『すきなひと』と話せば往々に乙女は華やぐものだ。
歳相応――ではなく見た目相応と言うべきだが――の表情を見せる小夜は少なくとも可憐に見える。
「それで、何の用じゃ。想像はつくがな」
「ついているなら、女に言わせないで頂戴な」
薄い唇をぺろりと舐めた小夜は挑戦的に梅泉を上目遣った。
彼女の灰色の瞳は彼の姿を映さないが、彼女の直感は彼を捉えて離さない。
「やれやれ、じゃ」
溜息を吐いた梅泉は独白めいて天を仰ぐ。
「どうせ断る権利はないのであろうなぁ――」