イラスト詳細
ニル=ヴァレンタインのはちごうによる3人ピンナップクリスマス2019(横)
イラストSS
「突撃!」
「隣の」
「シャイネンナハトー!!」
イエーイ、ドンドンパフパフー!
ここは深夜の魔王城。一度は終わりを迎えたお祭り騒ぎが、今再び始まろうとしていた。
「あら?」
こじ開けた、もとい開きっぱなしだった部屋の中心には豪華な寝台。
そしてぽっこり膨らんだ掛け布団。
勢いよくニル=ヴァレンタインの寝室に飛び込んだゼファーは、無言の室内に上機嫌で笑みを深めた。
「眠っているなら好都合ね」
背負ってきた大きな袋を担ぎ直し、毛足の長い絨毯の上をヒールブーツでそろりそろりと歩いていく。
高身長のゼファーが履けば、その美しさと相まってモデルのように見える……のだが、なにせ着ているサンタ服はパーティーグッズ用。どこかコスプレ感が漂っている。
しかも胸元で盛り上がる赤い布地は防寒という言葉に真っ向から喧嘩を売る面積であり、裾丈に至っては事故が起こりかねない代物だ。
それを見事に着こなす姿がもう一人。
「何だか本物のサンタさんになったみたいっす!」
ゼファーの後ろに続いたジル・チタニイットが小声ではしゃぐ。
赤白黒という定番のサンタ色で決めたゼファーとは違い、ジルのコスチュームは青と白だ。
肌が透けるほど薄手のタイツに包まれた長い脚がトテトテと部屋を横切る。ジルの恰好はサンタというよりも雪や冬の妖精を思わせた。
「ニルさん、驚いてくれるっすかね?」
両手で抱えるほどの大きなプレゼントを持ったジルは、山になった掛布団を見て嬉しそうに微笑んだ。
こんなに騒がしいサンタたちが現れても、部屋の主はちっとも起きない。
疲れて熟睡しているのだろうか?
否、とっくに起きて二人の到着を今か今かと待ちわびていた。
但し、場所は寝台の上ではない。
(ククク、二人とも。一体どんな表情を見せてくれるかのう?)
暗くて狭いベッドの下。そこにニルは小さな身体を折り畳んで隠していた。
愛らしいパジャマに身をつつみ、無理矢理押しこんだフワフワの髪が裸足の足をくすぐる。
寝台の上にあるのはプレゼントを持ってきた二人をあっと驚かす秘密兵器。
こみ上げてくる笑いを抑えきれず、ニルは思わず口に手を当てた。
蓋を開ければ、中から人形が飛び出すビックリ箱。
そこから更に、寝台の下から飛び出した自分が驚かすのだ。
二段構えのサプライズ。
その為にニルはひたすら、寝台の下でスタンバイをしている。
「これは、プレゼント?」
「早く開けてみるっすよ?!!」
布をめくる音と共に頭上から聞こえた息を飲む声。
しゅるりとリボンの解ける音に胸が弾む。
プレゼントボックスの蓋が開くと、そこには……。
To be continued...
※担当『駒米』