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ひかり想う金の灯火/聖夜2019
ひかり想う金の灯火/聖夜2019
イラストSS
ユズリハの古木に似た古い大樹。
元々は廃墟化した教会の庭木だったものが人手を離れて育ち、大窓を壊して内部へ侵食。 狭い屋内で捩くれた幹が講壇に当たってから上へと伸び、いつしか天井を破りそうな大樹の洞の中。
そこが小躯な飛行種、閠の寝床らしい。
「今日は……シャイネン・ナハト……わくわく、します!」
自身の抜けた羽根を敷き詰めた上に腰を下ろし膝に毛布をかけて。この特別な夜にサンタや靴下等の布製のオーナメントを作るべく楽しげに針を通している。
膝元には練達から調達したのか、無辜なる混沌にある物語とは違った、別の世界のシャイネン・ナハト……クリスマスの物語が開かれてある。
「この世界ではシャイネン・ナハトのお話ですが……別の世界ではクリスマスと呼ばれていたりと、たくさんの物語があるんですね……」
オーナメントに針を通しながらも物語を読み進める。その閠の様子を傍で丸くなっていた黒狼の霊は穏やかに眺めていて。
光源であるランタンの傍を人魂がふわりと漂っていた。
「サンタさんってひとは、子供達にたくさんのプレゼントを配ってるんだ……」
ボクのところにも、きっと来てくれたらいいな……
※担当『月熾』