イラスト詳細
ジェックの旭ゆうやによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
ジェックの旭ゆうやによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
イラストSS
●Melting Ice
降り積もった雪は別の世界に草の生い茂る庭を移してしまったかのようだった。
触れる雪の柔らかさと儚さに、時を違えたセーラー服の薄着による寒さも忘れてしゃがみ込み、少女は……ジェックは雪だるまを作っていく。
こうした童心に帰るのも、薄着と素手の冷たさも忘れてしまうほどに楽しくてたまらないのだから。
雪雲の隔たりがあっても昼という時候に太陽の存在は感じられる。
それがあるから雪の降り往く様の静寂を孕む美も、積もり積もった雪の美しさも感じられる。
その中で一人雪だるまを作り溶け込む少女に、静かで穏やかな心地よき時を邪魔しないように、太陽の如き君は……タントは着こんでいた純白のコートを被せた。
「お風邪を召してしまいますわ、ジェック様」
雪だるまを作る手を止め、振り向いたその先に、ガスマスク越しに差してくる眩しい金色がそこにあった。
耳元に静寂の支配する雪積もりの中、静かに溶け込むような音量でいながら、囁きに載せられた吐息は熱く。
囁きがスイッチとなったかのように身体を包む上着の温もりが、持ち主の何処までも熱い温もりを教えれば。
「――アア、キミは本当に暖かいネ」
その言葉に、タントは……近くに来た太陽は眩い笑顔で答えるのだった。
※担当『表川プワゾン』