イラストSS

「ちょっと、うそでしょ！？」
　メリーは慌ててそりの向きを変えたが、そりは止まってくれなかった。箒にぶらさがったそりは、重力にまかせてぶら下がる。
　今日はシャイネンナハト。
　ここは魔女らしく、サンタクロースと意気込んで、箒に跨って媒体飛行で高所から飛び立ったはいいものの、このありさまだ。
　そりのうえに乗った袋は落下し、プレゼントが地上にばらばらと落ちていく。モグタンについた角をぎゅっと握る。さいわい、これは落ちなかった。
　ぷらんとぶら下がって、メリーは憤っていた。
　どうしてこうも思い通りにはいかないのだろう？
　かつての世界では稀な魔力を誇り、やりたい放題やってきたメリー。この世界では、すべてがメリーの思うままとはいかないようだ。
「あーもう！　仕方ないわね！」
　なんとかプレゼントを取り戻そうと、慌てて箒で急降下する。いくつか受け止めることはできたものの、まだいくつも散らばっている。
　箒をぎゅっと握りしめ、急降下の体制をとる。メリーの赤いリボンがふわりと揺れて、シャイネンナハトの夜空にほうき星のように一筋が降った。

※担当『布川』