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誰よりも甘い一日を…
誰よりも甘い一日を…
イラストSS
シャイネンナハトと言えば『ソレ』ら用の商材が莫大に売れる時期であるが。
では全て完売に至るかと言うとそうではない。
幾らかは残り、そして時期を逸すれば減じた値段にて売られるモノであり――
「ええと。たしかこの先にももう一軒あった筈……」
そして『ソレ』らを求めて街を駆け巡るのは世界だ。
両の腕の内にあるはケーキの入った箱・箱・箱――甘味だらけのパラダイス。
非常に安価となった物を求めてあちこち。探せばやはり幾らでもあるもの。
この時期を逃せば次にこのような甘味が特売になるのはいつの事か。
「あと二……いや三軒ぐらい行ってみようか。その後はとりあえず一度荷物を置きに……」
街を歩く住人の傍をゆるやかに歩き抜けて。
求め歩くは己が渇望。砂糖の集約、芸術の一種。
誰かと食すのか、一人で食すのか――いずれにしろ買った量を消費しきるのか。
さて。
しかしかような事は後で良い。今はただこの一時を楽しもう。
好むモノを追い求め、手に入れる事のなんと甘美たる事か。
世界は往くのだ、どこまでも。
世間の目が。彼が抱えし特売の品々に向く前に。
全てを持ち帰り――楽しむとしよう。
きっと、誰よりも甘い一日を過ごすから。
※担当『茶零四』