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蒼薔薇のワルツ
イラストSS
●冬薔薇と月光
身を切るような十二月の寒さも、仄かに舞う白い雪の欠片も。降り注ぐ月光も、咲き誇る冬薔薇も。
きっと、今夜は脇役だ。まったく、このワン・シーンを彩る為だけに存在する舞台装置に過ぎないのだろう――
――Shall We Dance?
気取って冗句めいたシャルロット・D・アヴァローナ(p3p002897)が幻想の青薔薇――リーゼロッテ・アーベントロート(p3n000039)のほっそりと美しい手を取れば。静寂に包まれた青薔薇の庭園はまるでダンス・ホールに変わったようだった。
柔らかな女性の『なり』で二人。
誰がリードをするものか――
さりとて、シャルロットは全て承知している。
「うふふ。お上手ですこと!」
「お気に召したようで幸いよ」
「ええ。退屈な相手に比べたら――夢見心地にもなれてしまいそう!」
妖艶に微笑み、今このステップに付き合う彼女は正真正銘心底骨の髄まで――生まれついての姫役なのだと知っている。社交界の場で壁の花を気取る彼女が『そうなる前』に幾人の首を落としたのかを知っている。
(綺麗な花には棘がある、か)
全ての作りが余りに華奢。神々の悪戯で産み落とされたかのような『完璧なお姫様』は同性のシャルロットにさえ眩しい。危険と同居しながらも誰かを強烈に惹きつけるその魔性はやはりお墨付きという事だ。
「……もう一曲」
「え?」
「付き合って貰っても?」
「ええ、ええ。お気に召すまま。でも――」
シャルロットの耳元をくすぐる言葉は悪戯めいて。
――退屈させたりしたら、酷いですからね?
背筋を舐め上げるようにぞっとする響きも帯びる――
※担当『YAMIDEITEI』