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Primula
Primula
イラストSS
それはクリスマスという特別な日だからか。
いつもは喧騒に包まれるローレットの酒場も、今日はしっとりとした空気に包まれていた。
酒場のテーブルでひと目を引くのはギニ・グリーンのような髪とオランピックのような瞳を持つ情報屋プルー・ビビットカラーだ。
色彩の魔女という異名を持つプルーは何かと物事を色の名で例える癖があった。
そのプルーの前に座るのは古木・文である。
プルーいわく彼の髪と瞳の色はトゥアレグとのこと。
文はこの世界へ召喚される前、手紙などを代筆する代書屋というものを営んでいた。
鉱物からインクを抽出するギフトを持っているという観点からも『色』というものへの興味は高い。
プルーの色彩感覚に興味を引かれた文は、この機会にと思い声をかけてみたのだ。
「今のワインは中々悪くなかったわね。まるでウェストミンスターのような味わいだったわ」
「なるほど……」
文は会話の中で引き出されるプルーの感覚を興味深く聞きながら、ワイングラスを傾け、そのウェストミンスターの味というものを確認する。
プルーが一体何を、どのような色で見て、感じているのか。
文の興味はまだまだ尽きることはない。
文はプルーの時間が許す限り、話を聞かせてもらうのであった。
※担当『天野奈々』