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御天道・タントの黒猫による2人ピンナップクリスマス2019(横)
御天道・タントの黒猫による2人ピンナップクリスマス2019(横)
イラストSS
ぱちぱち、と暖炉の火が爆ぜる。
そんな小さな音すら聞こえる、静かで穏やかな時間が流れる部屋で、暖炉の前に置いた二人掛けの椅子にタントとクローネは肩を寄せ合い座っていた。
タントの家に呼ばれ、二人でタントお手製のご馳走を食べ。
ゆったりと食後の時間を過ごした夜更けの頃。
クローネは、右側の温もりがぐい、と近づいて来たことに気付き読みかけの本を閉じる。
「クローネ先輩……だいすきですわ」
ぽそり、タントの口から零れたのは心の底からの言葉。
ふわふわと、まるで酔い痴れたように蕩ける幸せそうなその微笑みは、クローネの心をきゅうきゅうと締め付けて。
とうの昔に熱など失ったはずの冷えた身体に、こうやってこの太陽は温もりを与えてくれるのだ、と思い知る。
「……ええ……私もです……」
きっと今自分は珍しい顔をしている。目を閉じたタントに見られたらほんの少しむず痒いような、けれど見て微笑んでほしい――大切な人だから。
最愛の人、その言葉を言うことはできないけれど。
(……それでも、今この瞬間は幸せだから)
目を閉じ、二人でこのまま眠ってしまおう。
今宵はシャイネンナハト。
それは、祝福の星が煌き、幸福に満ちた優しい夜。
太陽と月が寄り添う聖夜が明けるのは、もう少し先のこと――。
※担当『飯酒盃おさけ』