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善と悪を敷く 天鍵の 女王のnii-ottoによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
善と悪を敷く 天鍵の 女王のnii-ottoによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
イラストSS
天を見上げれば星が浮かんでいた。
幾重にも煌めく宝石の如く。手を伸ばしても決して届かぬ――彼方に。
しかし。『視方』を変えれば星々は決して天だけに在るとは限らぬのだ。
闇夜。その中を漂っている影が二つ。
レジーナとミニュイだ。
いや漂っているように見えるのは誤解か。真実彼女らは『落ちている』
天より地へ。スカイダイビング、とも言えるだろう。その視界の先にあるのは。
「――成程。これは確かに地上の星ね」
「手は離さないようにね。逸れたら――何とも、面倒な事になるよ」
地上の夜景。無数の光が散らばり輝く星の欠片。
美しき灯りだ。成程、地上に居ては中々に分からぬが……空から眺めればこれも天体。
決して空の黄金に劣らぬ宝の数々。
彼女らの現況は地上へ落下しうる途上であるが。
手を伸ばせば――まるで、星空に落ちる流星が如く。
届かぬ星に近付く一抹の奇跡が如く。
絡む指先。それが確かに二人の繋がりを示していて。
共に往くのは天か地か。
瞬く。
この日、この一瞬の幻影が。
共に星の果てへと誘うが如き感覚を齎すのだ。
願わくば、もう少しばかりのこの一時を。
地上よ。願わくばもう少しばかり彼方に在れと。
矛盾せし、しかし矛盾せぬ想いを胸に。
ああ――夜空を舞う。
至高の夜空を。
輝かしき――この夜を。
※担当『茶零四』