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イラスト詳細

シャイネンナハト2017 三賊溺死編

作者 kiyoponmaru
人物 グドルフ・ボイデル
キドー・ルンペルシュティルツ
オクト・クラケーン
イラスト種別 3人ピンナップクリスマス2019(サイズアップ)
登録されているアルバム
納品日 2019年12月24日

10  

イラストSS

 『三賊同盟』を知ってるかい?
 裏社会じゃやつらを知らねえやつはいねえ。悪名轟く三人の賊どもだ。そうで無くとも、新聞記事ぐらいは見たことがあるんじゃねえかい?ほら、去年の今頃、シャイネンナハトに『サンタクロース泥棒現る』ってよ。
 その『サンタクロース泥棒』の誰も知らない続きの話。特別に聞かせてやるよ。


 老朽化した板材の隙間からドボドボと海水が注ぎ込み、水位がどんどん上がってゆく。無理やり乗せられる前に見た外観は嫌味なほどにシャイネンナハトらしく飾り立てられていた。だが実際はどうだ。とんだボロ船じゃあねえか!
「おいキドー! 先ずはおれさまの枷から解除しやがれ! んなモン手が自由になりゃいくらでもぶっ壊してやっからよォ〜!」
「うるせバーカ! テメー自由にしたら真っ先に逃げ出すだろうが!」
「うんむぶ、むむんぐ、むぐぐぐ……」
 情け容赦なく沈みゆく船の底で、三賊同盟は揃いの焼け焦げたサンタ服を見に纏い、それぞれ違った方法で自由を奪われていた。
 グドルフは手首に鉄球付きの枷を取り付けられ剛力を封じられ、キドーは両足に同じ鉄球付き枷を取り付けられ身軽さを封じられ、オクトは古式ゆかしいドラム缶コンクリ詰めと口枷で念入りに海洋種の強みを封じられている。オクトの場合は溺死の前に窒息死しそうだ。
「くそったれ! 留置場の方がよっぽどマシだったぜ」
「んなこたぁどうでもいいんだよ! モタモタしてんじゃねえヘボ盗賊!」
「なんだとぉ……」
「む、むご……か、ひゅっ……」

「さらば『三賊同盟』、ってな」
 夜景を背に、ブランドスーツに身を包んだ伊達男が葉巻をふかす。
 沈み行く船、そして海底へ遠ざかる色とりどりのイルミネーションの明かりを眺めるその姿はカタギの人間のそれではない。衛兵にだって見えない。見える筈がない。どう見ても何処ぞのギャングのエライ人だ。
「サンタクロース泥棒だか何だか知らねえがふざけたカッコで舐めたマネしやがって。俺のモノに手を出したらどうなるか、思い知らせてやる」
 銃でも、剣でも、手投弾でも殺しきれなかった。ならば、重しをつけて海に沈めてやろう。衛兵になんざ渡さねえ。念入りに殺す。絶対に殺す。つーかもう殺した。
 今頃連中は冷たい海の底だろう。伊達男はほくそ笑んだ。ああ、目を瞑れば海中に漂う連中の哀れな姿が見える。なんて清々しい気分だろう。何の悔いもなく気持ちよく新年を迎えられそうだ。
 夜の埠頭に高笑いが響く。

 後はあんたも知っての通り。
 『三賊同盟』は不滅なのさ。

※担当『ゴブリン』

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