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レイヴン・ミスト・ポルードイの棘ナツによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
レイヴン・ミスト・ポルードイの棘ナツによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
イラストSS
シャイネンナハトは混沌全てで祝われる日。
なれば海洋もまた例外でなく――かの地でも舞踏会が開かれていた。
最中に姿を見せたのはレイヴンとイーリン。
正装に身を包む二人が歩を共に。向かい合い、拍に乗りて身を舞わす。
「――緊張されて?」
「そういう訳ではないけれど、さて。経験がなんとも、ね」
レイヴンの言に重なるイーリンの返答は、それぞれの経験の差を示していた。
レイヴンは社交界への慣れがあり、かような舞台にも幾度か出席を。対してイーリンは舞踏会の一輪の鼻として誘われる事に悪くはないと――感じてはいるのだが。如何せん、令嬢としてデビューしたのは幾先日。
どうしても動きに多少なりの差が出てしまう。
「『紫苑の君』とあろう方でも、左様か」
「ふふ――そう至るなら、こういう折は男性の方がリードするべきじゃないの?」
小声で紡ぐ二人の会話。穏やかな視線の交わりの果てに。
添えた手を微かに。ほんの微かに強く握って。
一幕の流れに身を委ねる。
流れる音色の中に二人の影が。確かにそこに在ったのだ。
海の地で、優雅な一時が誰をも祝福する。
シャイネンナハトの夜に。輝かしきこの夜に。
――誰そ彼を知るのは紫苑の華。
※担当『茶零四』