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魔王様とサンタごっこ
魔王様とサンタごっこ
イラストSS
次々に降ってくるプレゼントを手にし、人々は見上げて神に感謝した。
だが……彼らはきっと想像もするまい。彼らが真に感謝すべきは、神ではなく魔王であることに。
――時は少しばかり遡る。魔王ニルの住まう魔王城では、ひとりのメイドが水着同然のサンタ服を手に、魔王様に迫っていた。
「のう……?」
戸惑うように尋ねたニル。
「何故妾の服は、こんなに面積がないのかえ?」
「……え?」
メイド、シュラはさも当然のようにニルへと返す。
「魔王様は可愛いんですし、アピールすべきかと思いまして」
「ふむ……可愛い、か」
そうおだてられてしまえば魔王はチョロい。機嫌よくそれを着込んでは街へ繰り出して、そして今――
「――で、何故魔王の妾が人の子の為に働いておるのじゃ?」
ふとニルは真顔に戻ってシュラへと訊いた。袋を屋根の上まで持ち上げて、手ずからプレゼントを配る魔王など聞いたことがない!
ところがシュラはあっけらかんと返す。
「そこは、カリスマを発揮してもらおーかなって。それに……」
確かに……悪い気はしなかった。シュラにつられて楽しそうに笑うニル。見上げる人々も同じく笑顔に変わる。
けれども――二人は魔王とメイド。人々が感謝を向けた相手は、神に反逆する者たちなのだ。
※担当『るう』