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シラスの萬吉による2人ピンナップクリスマス2019(横)
シラスの萬吉による2人ピンナップクリスマス2019(横)
イラストSS
「貴様も変わった男よな」
聖夜、シラス(p3p004421)がレイガルテ・フォン・フィッツバルディ(p3n000091)――つまり、この幻想(レガド・イルシオン)における最高実力者に掛けられた言葉は何時もと少し違うものだった。
「……畏れながら閣下、意味をお伺いしても?」
慇懃無礼な口調もすっかり板についたものだ。シラスは元々スラムの出身だったが、特異運命座標として目覚めて以来は主に目の前の権威が服を着て歩いているような男の為にフィッツバルディ派として活動していた。今夜も一つの仕事を果たした報告をする栄誉に預かったという訳なのだが。
「国も民も浮かれる夜だ。
年若い貴様にもそういう相手位はいないものかとな。
……フン、わしに阿るのも良いが、そうでもないなら年頃の貴族の娘位は当てがってやらぬでもないぞ?」
珍しい言葉にシラスは少し鼻白んだ。権威主義の塊が自分等にそんな提案をするというのはある意味で『フィッツバルディ派に組み込んでやる』という最高の評価に違いないが、シラスの腹芸はそこには及ばない。
「愚か者め」
馬脚を現したシラスにレイガルテは苦笑する。
「いえ、申し訳なく。ただ、今晩は答えを返したくて。
以前にお尋ねになった言葉を――私は、幻想がどうあるべきかは分りませんが、弱いのは嫌です。そしてこの国を強く導ける者、それは公の他にいないでしょう、心底それを伝えたくて」
「聖夜にか」
「はい」
頷いたシラスにレイガルテは笑った。
これは彼の――至極珍しい表情だった。
※担当『YAMIDEITEI』