イラストSS

　豪華絢爛。キャンドルに火を灯して、料理とスパークリングワイン、そしてケーキ。
　飾られるどれもが素敵で、どれもおいしそうで。
　タルトにとっては幸福だらけ。
　嗚呼、どれもシャイネンナハトを愉しむには十分な準備が整えられている。
「じゅる……」
　白いツインテールに白いドレスに身を包みタルトが手を組み合わせる。
　おいしそうでおいしそうでたまらないテーブルの上のお魚さん。
　お魚さん……？
　いや、魚にしては黄色がかって、何所か小麦粉の気配がして、それで……。
　ひょっとして、ぶるぶると震えているのはベークではないだろうか。
　テーブルノメインディッシュと言わんばかりに存在する彼は怯えた様にその身を揺らしている。
　ぶるぶる、食べないで……。悪い鯛焼きじゃないから……。
　そう言いたげだが生憎、『たい焼きの声』は聞こえない……。
「もう食べて良いかな……？」
　鯛焼きの外見と美味しい餡子の気配を感じさせる。美味しい鯛焼きだもの存分に楽しみたいと笑みを浮かべるタルト。
「いっただき――」
「――――待ッ――」
　生き残りたい。出来れば食べないで下さい。お願いだから。
　頑張れベーク。負けるなベーク。
　空腹（タルト）はすぐそこだ。

　※担当GM『夏あかね』