イラストSS

　厳寒の白き森。
　氷片の浮いた湖で少女二人が『水遊び』に興じている。
　……控え目に言っても頭のおかしい風景。
　……遠慮しても尋常ならざる光景。
　何をどうしても理不尽にして闇深き遊戯の絵図である。
「ボクは今、奥歯をガタガタ震わせながら思うのです」
「はい、ユリーカ君」
「看板娘のボクは陰謀で水に沈められている訳ですが、今頃、広報はリーゼロッテさんに乗っ取られているのです」
「そうですね」
「アルプスさんはきっとそんなボクを不憫に思って、こうして遊んでくれているのです。嬉しいのです」
「分かってくれて嬉しいです。
　折角ですからね、シャイネン・ナハト気分を味わって貰おうかと思いまして」
　真冬の水遊びの何処に聖夜感？　は禁句である。
「言いたい事は色々あるのですが、それはいいのです」
　白い息が弾む。ギャグキャラで無ければ凍死ものである。
「誰がギャグキャラなのです……ですが」
　笑顔のユリーカはふと呟く。
「アルプスさんの本体はあっちに駐車されているバイクなのです。そこにいるのは多分ホロなのです」
「……」
「超寒いのはボクだけなのではないでしょうか！」
「あはははは」
「寒いのです！！！！」

　がたがたがたがたがたがた。

　氷片の浮く湖で少女二人は戯れる。
　戯れのような追い打ちのような、そんな一幕。

　※担当GM『YAMIDEITEI』