PandoraPartyProject

イラスト詳細

遠く浮かぶ祝祭の灯火

作者 小束すま
人物 ジェック・アーロン
イラスト種別 シングルピンナップクリスマス2018(サイズアップ)
登録されているアルバム
納品日 2018年12月24日

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イラストSS

●教会に、一人
 静寂だけが支配する、忘れ去られた教会。
 聖夜の今日、屋根も碌に無く、ステンドガラスの破片が散らばるその廃墟に近づこうとするものはいないだろう……ガスマスクを付けた、長く乱れた白髪の少女を除けば。

 遥か遠く聖夜を祝う人々が街に施した煌びやかな装飾の数々が放つ光が教会の割れたステンドガラスへと差し込み、僅かに残ったガラスが教会内へと鮮やかな色を送っていく。まるで地面に転がった同胞へ一緒に輝こうと誘うかのように。
 ステンドガラスの向こうに広がる景色は、澄み渡るほどの寒空の中を舞う美しい白い雪とそれを彩る星々達が舞い、聖夜を屋根の下で過ごす人々へ、一緒に遊ぼうと語り掛ける。
 だがその誘惑は教会の華奢な少女の心を揺さぶる事は無い。

 喉を刺すような冷たい空気も外を舞う雪の輝きも、混沌の世界では無害な冬の使者。
 しかし彼女の居た世界では、それはあらゆる命の灯を消し飛ばす毒を秘めた、小さな死神であったもの。

 セーラー服の少女は誘われることも拒絶する事も無く、その空を眺めながら、決してその仮面の下の素顔を見せることなくただ其処に在り続ける。
 そして、壊れた祭壇の上に広がるその光景を眺め、傍らに置いた銃を手に静かに歌うだけ。

 煤けたガスマスク越しに広がる空の景色に、彼女が思う事は何であろうか――

 ※担当GM『塩魔法使い』

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