イラストSS

「はい、カイトさん。あーん」
　室内。リリーはカイトと共にいた。テーブルの上に置かれしは――イチゴの積み重なったケーキである。小柄、というのを超えて小さな身長のリリーにとっては、それにフォークを突き刺して一角を抜くのもサイズ的には中々の作業であり。
「おぉう気持ちは嬉しいが大丈夫か？　無理はしなくても……」
「いいのー！　したいんだから、どうぞ――！」
　にこやかにリリーはカイトの口元へと、イチゴが一つ乗った部分を運んでゆく。
　――が、その道中。バランスの揺らいだイチゴが崩れようとして。更にバランスを取ろうと足元がふらつく。さればもう一つ、カイトの分のフォークに足を引っかけてしまい――
「あっ！！」
「あっ――言わんこっちゃない！！」
　転ぶ。舞うフォーク。舞うイチゴとケーキ。舞うリリー。
　仰天するカイトだがもはや間に合うまい。いやむしろ開いていたカイトの口の中に飛び込まんとする形になっているリリーをまずどうすべきか！　口を閉じるべきか受け止めるべきかそれとも……！？

　夜は更ける。シャイネン・ナハトの一夜はここに。
　美味なるケーキと共に、二人は過ごすのであった――

※担当GM『茶零四』