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輝かんばかりの夜だからこそ
輝かんばかりの夜だからこそ
イラストSS
「今日はどこも混んでるな」
「ええ、ほんとうに」
買い物の途中、二人はベンチに腰を下ろした。
街で買い込んだたくさんの荷物を横に置き、ここでいったん小休止といこうとしよう。
アルクは結構な量の買い物をしているが、それでもまだあと2、3件はこれから回る予定だった。クランも増えたことだし、年末年始を過ごすとなると、クランのための買い物はこんな量では済まないものだ。
陽ざしは眩しく、のんびりとした午後だった。それでも季節は冬、吐く息は白く、外にはうっすらと雪が積もっている。
「寒いか?」
「いいえ」
牛王は柔らかく首に巻いた薄紅色の風呂敷に触れる。
「温かいですよ。陽ざしもありますし、動いていればなおさらです」
「そうか」
「たまにはブーツというのもなかなか良いものですね」
「雪が積もってると、余計そうだな」
何気ない日常の会話。
二人の前を、シャイネン・ナハトを喜ぶ子供たちがにぎやかに横切っていった。
「そうそう、この前、こんなことがありまして……」
それをきっかけにしてか、牛王は穏やかに語りだした。アルクはゆるやかに相槌を打ちながら耳を傾ける。
記憶は、目を見つめて伝えるまでもなく。こんな日に義兄弟と語らうのは、思いついた言葉を拾っていくだけでいい。
※担当GM『布川』