イラスト詳細
今だけは浮かれようか
今だけは浮かれようか
イラストSS
「乾杯」
「乾杯」
軽やかにグラスを打ち鳴らす音が響き渡る。
今日はクリスマスディナー。
柔らかな雪が、空から降り注いでいる。
幻想の美しい夜景が、クルーザーの外をゆっくりと流れていった。
レイヴンは慣れた優雅な所作でグラスの中の液体を口に含んだ。
イーリンもそれに続く。
今日のレイヴンは、燕尾服に山高帽といった正装だ。
普段は放浪生活を送っているレイヴンではあるが、ひとたび装いを整えれば高貴な身分であることがすぐに知れる。
派手な格好でこそないが、気品のある着こなしがミステリアスな魅力を引き立てていた。美しい髪は、青というより濡鴉色にも見える。
イーリンも、レイヴンの向かいにあって全く引けを取らなかった。ふとした瞬間に目を止めると、視線を引かれ、どこか視線を離せないような魅力を放っていた。
どこの国の姫君だろうかと、客たちはひそかにささやきかわしている。
「ふふふ、似合ってるよ」
「ありがとう」
イーリンは大人っぽい笑みを浮かべた。
紫苑色のオーダーメイドのドレスは、レイヴンが見立てたものだ。イーリンが覗かせる別の表情を、レイヴンは興味深そうに眺めていた。
※担当GM『布川』