イラストSS

「おじさま、おじさま！」
　イルミネーションに彩られた幻想の街は賑やかだ。
　その賑やかさの一端になるルアナは、手を繋いだグレイシアを引っ張って行く。
「あっち、あっちにね、おっきなツリーがあるんだって！」
「そう走らずとも、ツリーは逃げたりはせぬ」
　赤色のサンタ風コスチュームのルアナと、落ち着いた黒いコートのグレイシア。
　孫と祖父、そんな言葉がしっくりくる二人だ。
「ねぇ、おじさま」
「ん？」
「……走って逃げるツリーとか、ちょっとみたいかも」
「……この世界ならば、どこかに居そうだな……」
　居たら居たで、きっとそのうちローレットへ依頼が来るのだろうなぁ。
　走り回る樹木の伐採など、シュールにも程がある。
「どこかにいるなら、見てみたいねっ」
　だが、しかし。
「ああ、そうだな」
　ルアナが笑うのなら、それもいいかと、グレイシアは静かに微笑んでいた。

　※担当GM『ユズキ』