イラストSS

　――今日この日が誕生日と言う者もいるだろう。そう。
「いや――実におめでたい！！　我が友よ、お誕生日おめでとう！！」
「Nyhahahahahahahaha！　我等『物語』にも生誕祭足る一夜は存在する。今日。この日。年月を一周し。巨大なる甘味をこの身の一部として味わおうとは。驚嘆の極み。我等『物語』も新たな一幕を迎えるのだ！！」
　Nyhahahahaha！　と声を高々にジョセフの祝いの言葉を受け取るのはオラボナだ。
　12月25日は彼の生誕。それが普通の意味での『誕生日』なのか。幾度目の『ソレ』なのかは今一つ不明な点があるが――まぁ祝いの日である事に間違いはないのだろう。届けられたチョコレートプレートのケーキを前に……いや違うぞこれ！　よく見るとホイップクリームやらでデコレーションしたオラボナである！！　くっ！　オラボナの輪郭がぼやけていて全体が良く見えない！　どこまでがケーキでどこからがオラボナだ！？
「ジ、ジョセフ様……こ、これは？　これは大丈夫、なのですよね……？」
「んっ、礼拝殿なにか心配事でも？」
「いや。その……」
　機嫌よさげなジョセフを前に、礼拝は思わず口を噤む。
　ああなんたることか……オラボナのカオスぶりは些か得意とする所ではない彼女である。しかし愛しきジョセフと共にあるは望外なのだが――食べるのかこのケーキを。フォーク片手に完全に食す気だが、止めた方がいいのだろうかこれホント。
「さぁ行くぞ我が友よ――受け取ってくれたまえ私の覚悟を！！」
　それは食欲混じりの友愛感情。不味い？　美味い？　関係ない。
　これは友に捧ぐが己が信義、己が友情！！
「拝借。我等『物語』は只なる金属の一片で傷付けられる事無し。容赦無用。血肉を貪るが如く欲求にて甘味を貪るべし。さすればその先にこそ今宵の終焉があるであろう――Nyhahahahahahaha！」
「ジョセフ様、やっぱり今しばらく心を静めてから――ッ！」
　若干涙目になりながらついに礼拝が止めようとするが、時既に遅し。ケーキにささったフォークが一部を抉って。ジョセフの口へと瞬時に運ばれてゆく。結果が如何か――さて、それはともかくとして。
　おらぼなくんおたんじょうびおめでとう！！

※担当GM『茶零四』